ロレックスのモース硬度②サファイアクリスタル・セラクロム・904L【時計道16】

時計道

こんにちはAlphaです。

時計道14ではまず「モース硬度」について説明しました。

「モース硬度」とは「モノの硬さを1から10で評価した指標」でしたね。

まだ読んでいない方はこちらから読んでみてください。

さて今回は、皆さんお待ちかねの本題「ロレックスのモース硬度」について書いていきたいと思います!

ロレックスを構成する素材達

今回は私がファーストロレックスとして購入し、3年と少し愛用しているイエローゴールドロレゾールサブマリーナー(Ref.126613LN)に使われている素材を例にして解説してみましょう。

  • ケース・ブレスレット素材→オイスタースチール、K18イエローゴールド
  • 風防→サファイアクリスタル
  • ベゼル→K18、セラミック

となっていますのでそれぞれの素材のモース硬度を見ていきましょう。

まずはケースとブレスレットに使われているオイスタースチールとK18イエローゴールドです。

オイスタースチールってなんだ?

ロレックスは自分達で名称をつけるのが大好きです。

一般的にはピンクゴールド呼ばれるゴールドもロレックスでは「エバーローズゴールド」と名前をつけていますね。

オイスタースチールはロレックスに使われている「ステンレススチール」のことです。

平たく言うとステンレススチールなのですが、ステンレンススチールは「鉄に一定以上のクロムを添加した合金」なので、その配合によって様々な種類があります。

時計に使用されているステンレススチールとしては「304」や「316L」が有名で、特に「304」は広く工業製品に使用されており、ステンレススチール全体の生産量の60%以上を占めると言われています。

そして、ロレックスが「オイスタースチール」と呼んでいるのは「904L」というステンレススチールで、高機能な「スーパーステンレススチール」と呼ばれているものになります。

「904L」は腐食、さび、酸に対して高い耐性を備えており、硬度も高いのです。

そんな良いところばかりに聞こえる「904L」ですが、当然素材としての価格は高く、高い硬度ゆえに加工も難しいのでロレックス以外に採用しているメーカーはあまりありません。

そんなステンレススチール界のスーパスター「904L」の硬度ですが、直接のモース硬度を示すソースはありませんでした。

そもそもモース硬度は「鉱物の傷付きにくさ」として利用される指標ですので、金属にはそれほど利用されていないようです(金属にはビッカース硬度と言う異なる指標が用いられることが多いです)。

ただ参考として、「304」「316」の「モース硬度は5」というソースがありますので、この値が参考になりそうです。

異種材料表 « 各種資料 | 英興株式会社

K18のモース硬度

ゴールドについては、信頼に足るソースがないのですが複数のサイトで「モース硬度2.5」と記載があるので、参考として「2.5」としましょう。

ただ「純金のモース硬度が2.5」であり、K18はもう少し硬くなりますが、ロレックスは配合内容を公開していませんので判断できません。

今回調べて「信用できそうな発行元の金属のモース硬度に関する記述」はびっくりするほどないことが分かりました。

上記金属のモース硬度については、参考程度に留めておいてください。

それではモース硬度の得意分野に入りましょう!

ロレックスのサファイアクリスタルのモース硬度は?

サファイアクリスタルやサファイアガラスなど色々な呼称がありますが、ロレックスは公式に「サファイアクリスタル」と呼んでおり、ロレックスの風防は「サファイアクリスタル」であることが分かります。

ちなみにサファイアクリスタルはサファイアであり、ガラスとはそもそも違います。

「サファイアガラス」という呼称は矛盾しており、間違っているのです。

「サファイアクリスタル」は人工サファイアのことであり、コランダムですので「モース硬度は9」となります。

「サファイアクリスタル」と聞くと、サファイアとクリスタル(水晶)が混合されている特別なもののように聞こえますが、実際は人工的に合成したサファイアなのです。

「ロレックスは風防として、人工的に合成した透明なサファイアを使用している」と理解するにがしっくりきます。

ちなみにコランダムとは「酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物」のことで、ルビーやサファイアのことです。

実はルビーとサファイアは色が違うだけで、基本的には同じ成分でできた宝石なのです。

「サファイアクリスタル」はダイヤモンドか同じくコランダムでしか傷つかない非常に硬い素材です。

ロレックスの風防がいつまでも綺麗に輝いているのにも納得ですね。

ロレックスのベゼルのモース硬度は?

30と掘られた黒い部分がセラミックベゼルインサートで外側の金色のギザギザした部分がベゼル

まずはこのベゼルについて整理しましょう。

今回のサブマリーナーでいう「ベゼル」とは回転部分のことであり、それは「外側の金属部分」と「中のセラミック部分」が組み合わされて作られております。

「中のセラミック部分」を正式には「セラミックベゼルインサート」と呼び、セラミックで作られています。

基本的にロレックスのセラミックは「二酸化ジルコニウム」を原料として製造されています。

基本的と言ったのは、ただ婉曲に表現して逃げ道を作るためではなく例外が存在するからであり、例えば「ペプシ」に搭載されている青赤ベゼルは「二酸化ジルコニウム」ではなく違う原料でセラミックが作られています。

この「二酸化ジルコニウム」は非常に硬く「モース硬度は8から8.5」です。

前述のサファイアクリスタルに次ぐ極めて硬い物質であることが分かります。

まとめ

ロレックスに使われている素材の大体のモース硬度が分かりました。

モース硬度の基準に使用されている標準鉱石と比較するとこのようになります。

ロレックスの素材のモース硬度表

ロレックスが使用しているK18はK24のモース硬度2.5よりも硬いですが、オイスタースチールに比べて明らかに傷付きやすいのは使っている方なら感じていると思います。

バックルのロレックスマークはK18でかつ出っ張っているので特に傷付きやすい
K18がオイスタースチールに比べてより傷ついていることが分かる
バックルの拡大画像

サファイアクリスタルとセラミックベゼルインサートはかなり傷付きにくいことが分かりますが、ケースやブレスレットといった他の部分については硬いものと擦れると傷つくので避ける必要がありますね。

終わりに

2回にわたって「モース硬度」「ロレックスに使用されている素材のモース硬度」について解説いたしました。

これからは身近なもののモース硬度にも着目してみると面白いかもしれませんね。

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